繊細でまっすぐな演技で、多くの人の心を惹きつける俳優・吉沢亮さん。
どんな役でもその人物の想いを丁寧に表現し、その表情や言葉が、見る人の心に残ります。
今回は、そんな吉沢亮さんの魅力が詰まったおすすめドラマを5作品厳選。
医療、歴史、サスペンス――さまざまな物語の中で見せた名演を、感想レビューとともに紹介します。
PICU 小児集中治療室(2022年・フジテレビドラマ)
北海道・丘珠病院に新しくできた小児集中治療室(PICU)に、若手小児科医の志子田武四郎(吉沢亮)が配属されます。
重い病気や事故で運び込まれる子どもたちを前に、時に迷いながらも、専門医の植野元(安田顕)たちと一緒に「どんな子どもも受け入れる」PICUを作ろうと奮闘します。
広い北海道ならではの搬送の難しさや家族の葛藤にも直面しながら、医師としても人としても成長していく姿が描かれています。
吉沢亮さんは、駆け出し医師の不器用さや真っ直ぐな想いを、繊細な表情で演じきっています。
印象的な場面では、思わずもらい泣きする視聴者も多かったようです。
『PICU 小児集中治療室』は、最初から最後まで心を揺さぶられるドラマでした。
慣れない環境の中に戸惑いながらも、PICUという新しい現場で武四郎の挑戦が本格的に始まります。
不器用だけどまっすぐで、子どもたちを助けたい気持ちがあふれていて、気づけば彼の成長を一緒に見守っていました。
重い病や事故で運ばれてくる子どもたちを前に、どうしたら救えるのか必死に考える姿が心に残ります。
ベテラン医師の植野(安田顕)に叱られても、あきらめず立ち向かう姿には胸が熱くなります。
北海道の広さゆえの搬送の大変さや、医療現場の厳しさもリアルに描かれていて、緊張感のある場面も多かったです。
感情を爆発させるような場面では、武四郎の想いがあふれていて、自然と涙が出ました。
吉沢亮さんの演技は細やかで、表情ひとつで心の動きが伝わってきます。
家族との関係や日々の苦労も描かれていて、医師としての強さだけでなく、人としての弱さも感じられました。
だからこそ、彼が成長していく姿に心から拍手を送りたくなります。
植野先生とのコンビも見どころで、時にぶつかりながらも深い信頼で結ばれていく様子にぐっときます。
時に厳しく突き放しながらも、しっかり支える植野先生の存在があるからこそ、武四郎が成長していける。
「この二人の関係をもっと見ていたい」と思わせるほどの相性だと思います。
見終わったあと、気持ちがじんわり温かくなりました。
武四郎の姿勢や言葉に励まされる人も多いはずです。
「失敗しても、もう一度立ち上がればいい」──そんな気持ちをもらえるドラマです。
出典:FOD公式/フジテレビ公式/リアルサウンド
青天を衝け(2021年・NHKドラマ)
幕末の時代、農家の家に生まれた渋沢栄一(吉沢亮)は、藍玉づくりを手伝いながら商いや経済の世界に強い関心を抱きます。
黒船来航をきっかけに時代が動き、栄一は一橋家に仕えることになりました。
その後、黒船来航や戊辰戦争など激動の時代を経験し、ヨーロッパへ渡ります。
帰国後は明治政府で改革に取り組みます。やがて官職を離れ、民間実業家として、「日本資本主義の父」と呼ばれる事業家へと歩み出します。
激動の時代に翻弄されながらも信念を貫き、自分の力で未来を切り開いていく姿が描かれています。
吉沢亮さんが13歳から91歳まで栄一を演じきった熱演が圧巻です。
『青天を衝け』は、序盤から最後まで栄一の挑戦と成長が描かれ、目が離せない作品でした。
重くなりがちな歴史ドラマなのに、最初の回から空気が明るくて、思わず見続けてしまいました。
その理由は、吉沢亮さんが演じる渋沢栄一という人物のエネルギーに引き込まれたからです。
考えるより先に体が動くタイプで、時々無茶をするけれど、正しいと思ったことは絶対に曲げない。
頭の回転も速いのに、時々不器用で愛嬌がある。そんな姿を見ていると自然と応援したくなりました。
若いころの栄一は、家業の藍玉づくりを手伝いながら「お金ってどう回っているんだろう」と純粋に考える青年として描かれています。
周りに流されず自分の考えを貫く姿が気持ちよくて、何度も胸がすっとしました。
勢いのまま行動して失敗する場面もあるけれど、その度に真っすぐ立ち上がるところが本当に魅力的です。
一橋家に仕え、ヨーロッパを見て、明治政府に入り、そこから民間の実業家として「日本資本主義の父」と呼ばれるまで歩んでいく道のりはとてもテンポが良く描かれていました。
一人の青年が時代の渦を駆け抜けていく様子がスピード感をもって描かれていて、毎話ワクワクしました。
吉沢亮さんの演技は、13歳から91歳までの栄一を一人で演じながらも、年齢ごとの声や立ち姿まで違って見えるほど繊細です。
若いころの勢いがある姿から晩年の落ち着いた姿までの流れがとても自然で、「一人の人生を見届けた」という満足感がありました。
見終わったあと、「挑戦することを恐れず前に進み続けたい」と思わせてくれるような力がある作品でした。
出典:NHK公式/オリコンニュース/CINEMAS+/名古屋刀剣ワールド
GIVER 復讐の贈与者(2018年・テレビ東京ドラマ)
吉沢亮さんが演じる義波は、生まれつき感情を持たない青年で、他人の復讐を代行する仕事をしています。
依頼者の恨みや裏切りを冷静に受け止め淡々と、しかし冷徹な手段で任務を遂行していきます。
やがて義波自身に向けられた“復讐”の真相が見えてくるにつれ、彼の内面にも変化が生まれていきます。
吉沢亮さんが感情のない義波を無表情に演じ、「目の光が消える瞬間」が強い印象を残しました。
『GIVER 復讐の贈与者』を見ていて、吉沢亮さんが演じる復讐代行人・義波の存在感に圧倒されました。
感情を持たない青年という設定がここまでリアルに感じられるのは、彼の目の演技があるからだと思います。
無表情のまま復讐を請け負う姿は人間味がなく、どこか異様な冷たさがありました。
ほんの一瞬だけ揺れる視線が印象的で、「目の光が消えているのに吸い込まれるよう」と感じた場面もありました。
1話ごとに依頼人の事情が描かれる構成も分かりやすく、テンポがよくて見やすい作品です。
演出がダークで緊張感があり、続きが気になって一気に見てしまいました。
緊張感のある場面もありますが、リアルすぎず映像として整理されているので、重くなりすぎず“ぞわっとする怖さ”がちょうど良い。
物語が一段と緊迫する後半では、演技がさらに深まっていくのがわかります。
義波の表情や動きの変化から、抑えた感情が滲み出るような迫力がありました。
アクションの動きや緊張感も際立ち、完成度も高いです。
義波を通して、吉沢亮さんの表現力の高さを改めて実感しました。
冷徹で感情のないキャラクターを、ここまで自然に演じきる吉沢亮さんの姿に、俳優としての確かな力量を感じます。
全体を通して、『GIVER 復讐の贈与者』は人の闇や復讐の連鎖を描きながらも、「感情とは何か」を問いかける作品です。
出典:テレビ東京公式/ORICON NEWS/モデルプレス
サバイバル・ウェディング(2018年・日本テレビドラマ)
出版社を寿退社したその日に婚約破棄されてしまった29歳の黒木さやかは、復職のために女性誌の編集長から「半年以内に結婚すること」を条件に採用されます。
婚活コラムを連載しながら、個性の強い上司にしごかれつつ、仕事と恋の両方に本気で挑んでいくストーリーです。
吉沢亮さんは広告代理店で働く年下の柏木祐一を演じ、さやかを支える頼れる存在として注目を集めました。
落ち込んださやかにやさしく声をかけて寄りそい、“柏木王子”と呼ばれるほどの包容力をさらっと見せる演技が話題になりました。
『サバイバル・ウェディング』の出版社を寿退社したその日に婚約破棄されてしまった黒木さやかが、復職の条件として「半年以内に結婚すること」を課される――この設定からもう引き込まれました。
婚活コラムを連載しながら、仕事と恋のどちらも本気で向き合っていく姿がリアルで、笑えて少し切なくて、テンポの良さもあって一気に観てしまいました。
編集長の強烈なキャラに振り回されながらも、さやかが少しずつ自分の幸せをつかもうとする姿に、見ていて勇気をもらえます。
そして何より印象に残ったのが、吉沢亮さん演じる年下の広告マン・柏木祐一です。
完璧すぎるわけではないのに、自然と人を支えてくれるタイプで、「こういう人、現実にいてほしい」と思わせてくれるような人物でした。
さやかが落ち込んでいるときに声をかけるトーンが本当にやさしくて、言葉に力があるのに押しつけがましくありません。
あの「また会えてよかったです」というセリフは、何度聞いても心に残ります。
SNSでは“柏木王子”という呼び名が広まっていましたが、見ていて何度も「柏木王子、優しすぎる…!」と思いました。
シロクマの着ぐるみで励ますシーンは、可愛さと包容力の両方が詰まっていて最高でした。
もしこんな人が職場にいたら、毎日が違って見えるだろうなと感じます。
とくに印象に残ったのは、彼のさやかに対しての呼び方や言葉のトーンが変わる瞬間です。
やわらかく名前を呼ぶようなその場面に、二人の距離の変化を感じました。
彼がまっすぐに気持ちを伝えるシーンでは、落ち着いているのに言葉に熱がこもっていて、気持ちの強さが伝わってきます。
吉沢亮さんの演じる柏木は、ただの“理想の年下男子”ではなく、さやかが前に進むきっかけをくれる存在だったように思います。
彼のまっすぐな言葉や落ち着いた態度が、ドラマ全体の空気をやさしく包んでいて、見ているこちらまで穏やかな気持ちになりました。
恋愛を描きながらも、「自分を立て直す強さ」や「幸せの形はひとつじゃない」というメッセージが自然に伝わってくる。
そんな温かい作品でした。
出典:日本テレビ公式/Real Sound
ぶっせん(2013年・TBSドラマ)
仏教専門学園「仏専(ぶっせん)」を開校した貧乏寺「仏物専寺」は、寺の再建のために入学金目的で男子生徒を募集します。
そこにスパイとして送り込まれた草履番・田村正助(吉沢亮)は、クラスメイトの“イケてない坊主”たちとともに、女人禁制・荒行・托鉢・精進料理といった仏教学校の日常を通じて、まっすぐに物事に向き合い、ユーモアにあふれた青春の日々を送ります。
社会の“常識”と仏の“悟り”がつながっていく学園コメディです。
吉沢亮さんは坊主頭でどこかつかみどころのない正助を演じ、ギャップのある青春像をリアルに表現しています。
どこか抜けた雰囲気と真面目さのバランスが絶妙で、初期作ながら存在感を放つ演技でした。
『ぶっせん』を観て、最初に感じたのは“予想以上に元気が出るドラマだった”ということです。
最初はコントのようなテンションでしたが、見ていくうちに登場人物たちのテンポの良さや独特の世界観に引き込まれました。
不思議と癖になって、気づいたら最後まで楽しんでいました。
みんな少し抜けていて、どこかお馬鹿で憎めない。
その明るさとゆるさが、見ていて心をふっと軽くしてくれます。
でもその中に、人としてのまっすぐさや温かさがしっかり描かれています。
笑っているうちに心が軽くなるような、そんな空気感が好きでした。
特に印象に残ったのは、吉沢亮さん演じる田村正助です。
坊主頭なのに顔立ちが信じられないほど整っていて、思わず見惚れるほど。
マイペースで天然っぽいのに、いざという時には真面目に人と向き合う。
そのギャップが本当に魅力的で、「こういう人がそばにいたら毎日楽しそう」と思わせてくれます。
表情ひとつで笑わせて、同時に優しさを感じさせる演技がとても素敵でした。
作品全体としては、“坊主×学園×コメディ”という一見コミカルな設定の中に、意外なほど真面目なメッセージが隠されているように感じました。
托鉢や精進料理などの修行シーンも、笑いの中に少しの説得力があって、「面白いのにどこか深い」と感じる部分が多かったです。
イケメン俳優が揃って坊主姿というビジュアルの強さもありつつ、キャラクターそれぞれの成長や人間味がきちんと描かれていて、“青春ドラマ”としても見応えがあります。
笑えるのに、ちょっと考えさせられるような不思議なバランスが心地よかったです。
登場人物たちはゆるく見えても、それぞれ悩みや思いを抱えながら前に進んでいます。仏教というテーマを使いながらも、堅苦しくならず、むしろ「人は完璧じゃなくてもいい」というメッセージを自然に伝えてくれるところが魅力です。真面目さとユーモアのバランスが絶妙で、見終わったあとに、肩の力を抜いて「人はそのままでいい」と感じさせてくれるような作品でした。
出典:TBS公式/CINRA.NET/Real Sound/reviewne.jp
まとめ
吉沢亮さんは、作品ごとにまったく違う顔を見せる俳優です。
『青天を衝け』では情熱と行動力にあふれる渋沢栄一を演じ、『PICU』では命と向き合う若手医師のまっすぐさが心に残りました。
さらに『GIVER』では感情を抑えた冷徹な演技で新しい一面を見せています。
『サバイバル・ウェディング』では、年上の女性を支える年下男子を自然に演じ、その包容力ある姿が話題になりました。
一方の『ぶっせん』では、坊主頭の草履番をコミカルに演じ、明るさと勢いで作品を盛り上げています。
全く違う役どころを自在に演じ分ける表現力の広さが、吉沢亮さんの大きな魅力です。
これからどんな役で驚かせてくれるのか、ますます楽しみですね。
・最新の日本ドラマも紹介しています。
『MISS KING(ミス・キング)』 もぜひチェックしてみてください。




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